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通信の遅延や混雑を解消 Wi-Fi7のメリットと実現可能な活用シーンとは?

2024.3.4

2023年12月の電波法令改正で解禁された次世代無線LAN、Wi-Fi7(IEEE 802.11be)。様々な新しい機能が導入され、より高速で安定した通信が可能に。オンラインゲーム、スポーツ観戦などのエンターテインメントから遠隔での医療など、よりスピーディで大容量のインターネット活用が求められる今、Wi-Fi7は私たちの生活をどのように変えるのでしょうか。

ついに次世代無線LANの新規格解禁!Wi-Fi7とは?

モバイル回線は4Gから5Gへと進化しますが、それでも欠かせないのがWi-Fiです。このWi-Fi、つまり無線LANにも規格があり、現在日本で広く使われているのは「Wi-Fi5」というものです。無線規格は「米国電気電子学会(IEEE)」という機関が定めているので、正式名称は「IEEE 802.11+◯」となり、〇にはアルファベットが入ります。Wi-Fi5は「IEEE 802.11+ac」となります。

しかし、そんなWi-Fiの規格も、ルーターやデバイスを取り換えれば、「Wi-Fi6(6E)」を使用することが可能です。Wi-Fi5では5GHz帯しか使えませんが、Wi-Fi6なら5GHz帯と2.4GHz帯の2つが使えるため、より繋がりやすく、よりスピーディにインターネットを使うことができます。もしWi-Fiに繋いでいるパソコンがあれば、自分がどの規格を使用しているか、一度確認してみると良いかもしれませんね。

そして2023年12月に総務省が新たな電波法施行規則を施行し、日本でも最新の無線LAN規格「Wi-Fi7(11be)」が利用できるようになりました。Wi-Fi7には様々な新しい技術が取り入れられており、Wi-Fi6からの大きな進化が注目されています。

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有線レベルのスピードと安定性を実現!?Wi-Fi7が優れているポイント

Wi-Fi7

Wi-Fi7が持つ目玉機能のひとつが「MLO(Multi-Link Operation)」です。Wi-Fi6では5GHz帯と2.4GHz帯という2つの周波数帯を利用できましたが、Wi-Fi7で使えるのは2.4GHz、5GHz、6GHzの3つ。しかも、バンドをまたいでこれらの周波数帯をすべて同時に利用することができます。どこかが混雑していても他の周波数帯を利用できるようになったことで、スピードと安定性を確保しました。

さらに、Wi-Fi7は「320MHz幅通信」という別の目玉機能も持っています。これまでは一度に利用できる帯域の幅が160MHzでしたが、Wi-Fi7ではその2倍に拡張されました。これは、例えれば引っ越しトラックのサイズが2倍になったようなもの。これにより、従来の2倍という通信速度を実現しました。

そして、Wi-Fi7のもうひとつの特徴が「変調方式」を改善したことです。「変調」とはデジタルデータを電波に変換することで、この方式によって伝送速度が変わります。変調方式を変更したことで、Wi-Fi7では、Wi-Fi6と比べて1.2倍のデータ量が送れるようになりました。引っ越しトラックでいうと1台に積める量が1.2倍になったというわけで、荷物を運ぶ速度、つまり通信速度は20%アップします。

その他にも様々な新しい機能が導入されたことにより、Wi-Fi7はWi-Fi5の13倍、またWi-Fi6の4.8倍の高速化を実現したのです。

手術もe-スポーツも無線LANで――Wi-Fi7で生活はこう変わる

Wi-Fi7

Wi-Fi7によって無線を使った様々な活動はより快適でスムーズになるでしょう。Wi-Fi7を使えば15GBものファイルでもわずか25秒でダウンロードでき、しかもレイテンシー(接続遅延)は100倍近く改善されるとされています。

インターネットゲームは無線でもタイムラグなしで、しかも高画質で楽しめるようになるでしょうし、大容量のコンテンツを短時間でダウンロードできるので、4K・8KのストリーミングサービスやAR/VR動画、eスポーツなどの没入型ゲームも無線で満喫できます。最近はリモートワークが定着しつつありますが、ビデオ会議システムも今よりずっとスムーズに行えるでしょう。もちろん、産業IoTや遠隔手術に遠隔医療、FXや株取引など、より「リアルタイム性」が求められるシーンにもWi-Fi7は活躍します。

加えて、Wi-Fi6では同時接続できるデバイスも最大で8台ですが、Wi-Fi7だと最大16台までOK。16台ならパソコンやスマホが増えたり、スマート家電が増えたりしても安心です。

もちろん、Wi-Fi7を利用するにはデバイスやルーターがWi-Fi7に対応していなければなりません。ただ、実際にWi-Fi7が普及し始めるのは2024年の中頃ではないかと予想されていますし、Wi-Fi7時代になっても現在の機器は引き続き使用できるので、自分がネットを利用する時の方法に合わせてアップデートしていきたいですね。

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新規格対応Wi-Fiルーターも登場−Wi-Fi7に高まる期待

すでに数社がWi-Fi7対応のルーターを発売しています。Wi-Fi7は近い将来、インターネットの無線利用をより快適にしてくれるでしょう。5Gの利用も進み、屋内でも屋外でもコネクティビティ(繋がりやすさ)の心配なくインターネットを利用できる日が来ようとしています。

※「Wi-Fi」は「Wi-Fi Alliance」の商標又は登録商標です


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【執筆】ユピスタ編集部
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