皆さんに「推し」はいますか?
日々、私たちを幸せな気持ちにしてくれる「推し」。そしてその推しを応援する活動、いわゆる「推し活」。実はこの「推し活」、とても健康に良いのです!好きなものを愛で、応援する「推し活」が、どのように私たちを癒してくれるのか。
存在そのものが私たちの心身を健康にしてくれる推しの尊さと、昨今の推し活事情を解説します。
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皆さんに「推し」はいますか?
日々、私たちを幸せな気持ちにしてくれる「推し」。そしてその推しを応援する活動、いわゆる「推し活」。実はこの「推し活」、とても健康に良いのです!好きなものを愛で、応援する「推し活」が、どのように私たちを癒してくれるのか。
存在そのものが私たちの心身を健康にしてくれる推しの尊さと、昨今の推し活事情を解説します。
体内ではふだん、100種類ほどの様々なホルモンが分泌されています。どれも少量ですが、内臓の働きを調整し体の調子を整える大事な働きをしています。今回ご紹介するのは、「幸せホルモン(ハッピーホルモン)」とも呼ばれるホルモンです。
例えば、セロトニン。体内で作られるのは約10mgで、そのうち2mgが脳で働きます。たった2mgですが、不足すると交感神経と副交感神経のバランスが失われ、睡眠障害、イライラ、鬱などを引き起こすとか。セロトニンの量を保つには、規則正しい生活を心がけ、日光に当たり、運動するのが良いと言われています。涙を流すことも効果的。感動的な映画や本を見て泣くとスッキリする、という説には科学的な裏付けがあるんですね!
オキシトシンもまた幸せホルモンのひとつ。別名「愛情ホルモン」とも言われ、不足すると孤独感を強く覚えたり、人間関係が辛くなったりするそう。なので、気の合う友達と時間を過ごしたり、感謝したりされたりする時間はとても大切です。また、これら以外の幸せホルモンとして有名なのが、「報酬系ホルモン」とも言われるドーパミン。ドーパミンが不足すると、やる気がなくなったり、疲労感が強くなったり、集中力が下がったり。そんな時に効果的なのが「自分へのごほうび」。美味しいものを食べたりオシャレをしたり、いつもと違う楽しい経験をすることで、ドーパミンの分泌を促進させることができます。
「幸せホルモン」を増やすことは心身の健康にとても重要ですが、実はこの幸せホルモンを、効果的かつ一気に増やす方法があります。そのひとつが、「推し活」なのです!
元々「推し活」と言う言葉は、女性アイドルのファンが使っていましたが、今や自分の好きなものなら何にでも使われるようになりました。アイドルや俳優、スポーツ選手はもちろん、二次元キャラクターやそれを演じる2.5次元俳優、歴史上の人物、動物、食べ物、映画に鉄道、果ては建築物まで。自分が好き!イチオシ!推薦したい!ものなら何でも「推し」に。
推し活の経済効果は高く、2021年度の市場規模は約6800億円以上。歌や映画、本やグッズの売り上げはもちろん、「推し色・推しカラー」の商品など、直接的に推しと関係がなくても、推しを感じられるコンテンツに多くのお金と時間、エネルギーがつぎ込まれています。
さらには「推し活」人口も増加し、Z世代のうち9割に何らかの「推し」がいる、3人に1人が「推し活をしている」という調査結果が。また、シニア世代の女性を対象とした調査でも「推しがいる」と回答した割合は35%に上っています。今や推し活は年齢・性別を問わず、日本に浸透している新しい文化なのです!
推し活は日本の経済だけでなく、私たちのメンタルヘルスにも良い影響を与えてくれます。考えてみると、前述の「幸せホルモン」は、推し活と直結していますね。いつもよりオシャレをして推しの試合や舞台を見ている時はドーパミンが、推しの活躍に感動して涙を流している時はセロトニンが、そしてSNSで推しの尊さを書き込んで「いいね」をもらい、ファン同士のコミュニティで推しについて語り合っている時はオキシトシンが分泌されているはず。大切な人の頑張りを支え、成功を一緒に喜ぶことは、私たち自身の幸せに欠かせないことなのかもしれません。
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今やキャラクターの存在そのものが、多くの人にとって心のよりどころとなっています。推し活の大きな魅力は、キャラクター自身のキュートな容姿や魅力的な個性、そして何よりファン同士が共感し合えることにあります。
この「共感」は、幸せホルモンのひとつであるオキシトシンの分泌と深い関わりがあるとされ、人とのつながりや癒し、ストレス軽減にもつながります。登場人物やキャラクターの感情に自分を重ねることで、心の深い部分が温かく満たされていく感覚を味わえるのです。
また、推しといっても、そのキャラクターや登場人物の幅は多彩です。見た目はかわいくても実は毒舌だったり、内気な性格と大胆な行動とのギャップに惹かれたり、自分とは正反対の個性を持った推しを応援することで新しい自分を発見するきっかけになることも。一人ひとりが自分だけの「推し」を見つけ、共感を共有できるのが推し活の楽しみです。
ストーリー設定も、共感の大切なエッセンスです。『鳥獣戯画』のような古典から現代の作品に至るまで、物語性を持つことでキャラクターの存在がより近しく感じられるものです。
そして、最近では「推しぬい(推しをデフォルメしたぬいぐるみ)」にも人気が集まっています。推しぬいは、好きなキャラクターをかわいらしい姿のぬいぐるみとして手元に置き、身近に感じて日常を彩れるアイテム。持ち歩いて思い出の場所で写真を撮ったり、一緒にお出かけしたり、抱きしめて癒しを得るなど、さまざまな楽しみ方が広がっています。ギュッと抱きしめることで、気持ちが落ち着く、幸せホルモンが分泌されるなど、生活に寄り添う新しい推し活グッズとして注目されています。
フィギュアやぬいぐるみなど推しグッズを通じて、推しとの距離感がより身近に、そして豊かに感じられるようになっているのです。
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アニメやキャラクターグッズにおける鮮やかな色使いは、一見現代的に思えますが、そのルーツは日本に脈々と受け継がれてきた伝統芸術にまでさかのぼることができます。
たとえば江戸時代の浮世絵。多色刷り木版による華やかな色彩や、プルシアンブルー(ベロ藍)を使った澄んだ青の階調表現など、今でも世界中で高い評価を受けています。とくに東洲斎写楽の役者絵や喜多川歌麿の美人画は、当時の人気役者や美女を“推し”として描いたもので、現代の推し活グッズの先駆けとも言える存在です。これらの浮世絵は、近年ではNHK大河ドラマの影響もあって再び注目が高まり、巷で話題になるなど“歴史的推し活”として盛り上がりを見せています。
そんな伝統美を背景に、現代の推し活でも「色」は重要な要素。アイドルグループのメンバーカラーや、アニメ・ゲームキャラクターごとのテーマカラーは、推しをアピールするための大切なシンボルになっています。
近年は、推しカラーを積極的に生活に取り入れる動きも広がっています。アクリルスタンドや缶バッジ、キーホルダーといった小物だけでなく、日用品やファッションアイテムも推し色でそろえ、「日常自体を推しカラーで彩る」人が増えるなど、楽しみ方の幅が広がっています。また、服装や小物の色味で推しをさりげなくアピールし、ファン同士が見分け合ったり、その世界観を共有できたりするのも推し活ならではの楽しみです。
色による心理的な効果も見逃せません。たとえば、黄色はエンドルフィン(幸福感を高める)、青はセロトニン(リラックスを促進)と関係があると言われています。美意識の継承とともに、現代の推し活グッズは心の健康もサポートしてくれる存在となりつつあります。
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ここまでお伝えしてきた通り、セロトニン、オキシトシン、ドーパミン、エンドルフィンの4つが「幸せホルモン」と呼ばれ、それぞれ異なる役割で私たちの心や体にポジティブな作用をもたらします。実は推し活には、これらの幸せホルモンをバランスよく分泌させる力があるのです。
推し活を楽しむシーンは大きく分けてふたつ。ひとつは、一人で推しグッズに触れたりライブ映像を見たりなど、自分だけの癒しの時間。そしてもうひとつは、イベントへの参加や、コミュニティで推しの魅力を分かち合う体験です。
これらの場面に共通しているのは、なんと「4つの幸せホルモンが分泌されている」という点です。
たとえばリラックスタイムにはセロトニンが分泌され、最新情報をチェックしてワクワクする場面ではドーパミンが活発に働きます。ファン同士で語り合うことでオキシトシンの効果を感じやすくなり、推し活そのものを楽しむことでエンドルフィンの分泌も期待できます。もちろんこれらは一般的な傾向であり、個人差がありますが、推し活は心と体の健康に役立てやすい文化といえるでしょう。
幸せホルモンは日々の意識や行動で分泌しやすくなるため、年齢やライフステージに関わらず、ぜひ推し活を取り入れてみてはいかがでしょうか。朝日を浴びながら推しの最新情報をチェックしたり、頑張った自分へご褒美をあげるように推し活を楽しんだりすれば、毎日がもっと色鮮やかに感じられるはずです。ささやかな推し活は、健康的な生活リズムづくりにもひと役買ってくれるでしょう。
推し活で幸せホルモンの分泌が増えると、私たちの行動はよりポジティブになります。ダイエットしよう、オシャレしようと考えたり、推しを感じる旅行をしたり、さらには外国語を学習するモチベーションになったりすることも。「自分のため」というだけではできなかったことが、「推しのため」なら頑張れるようになることさえあります。
実際、利用者のメンタルヘルスに推し活を取り入れる高齢者施設も増えています。ある施設には推しができたことで要介護が3から1になった方や、推しを応援するためにリハビリを頑張り始めた方もいるそうです。推し活で他の人とのコミュニケーションが増えると孤立を防ぎ、認知症を防ぐ効果もあると考えられています。
とはいえ、推し活には注意も必要。「推し疲れ」なんて言葉もあるように、夢中になり過ぎると、推しに生活のすべてを左右される危険があります。自分と他のファンと比較して落ち込んだり、推しの言動に振り回されたり……。あらかじめ推し活に使うお金と時間を決めておく、SNSの利用方法を見直すなど、推し活を楽しく続ける方法を考えたいですね。推しのおかげで幸福な気持ちになり、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)も上がる。それこそが理想の「推し活」です。
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何かとストレスのたまる現代。ストレスは免疫低下の原因にもなり、心身の健康に悪循環を招くモト。そんな中で楽しみながら幸せホルモンのセロトニンを分泌させてくれる「推し」がいることは、とてもラッキーだと言えるでしょう。バランスの取れた推し活で、ストレス社会を上手に乗り切っていきたいものです。
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(2022年12月26日新規掲載:2025年7月7日更新)
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