電気を蓄えることができる「蓄電コンクリート」の実用化に向けた研究が進んでいます。この革新的な技術は2023年にアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が発表し、2027年の商用化を目標として開発が進められています。
希少レアメタルを一切使わず、ありふれた素材でビルや自宅を丸ごと巨大な蓄電池に変貌させたり、家やビルそのものに電気を貯めて災害時の非常用電源やEV充電に活用したり。そんな、誰もが憧れるSFのような未来インフラ、蓄電コンクリートのロマンと仕組みに迫ります。
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電気を蓄えることができる「蓄電コンクリート」の実用化に向けた研究が進んでいます。この革新的な技術は2023年にアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が発表し、2027年の商用化を目標として開発が進められています。
希少レアメタルを一切使わず、ありふれた素材でビルや自宅を丸ごと巨大な蓄電池に変貌させたり、家やビルそのものに電気を貯めて災害時の非常用電源やEV充電に活用したり。そんな、誰もが憧れるSFのような未来インフラ、蓄電コンクリートのロマンと仕組みに迫ります。

蓄電コンクリートは一般的なコンクリートに「カーボンブラック」を混ぜ合わせ、建物や構造物そのものを蓄電池に変える革新的な技術です。リチウムイオン電池のような化学反応ではなく、静電気の力を利用して、電気を貯める電気二重層「スーパーキャパシタ」の仕組みを採用しています。
カーボンブラックは石油や天然ガスを原料とする炭素粉末で、直径10〜100ナノメートル(10万〜1万分の1ミリメートル)という非常に細かい粒子からできています。黒い色を出したり強度を高めたりする目的で用いられており、その特性が活かされている身近なものとして、タイヤのゴムが挙げられます。
カーボンブラックは木炭などと同じく炭素が主成分ですが、不純物が非常に少なく、電気をよく通す性質(導電性)を持っていることが、昔から知られていました。やがて研究者たちはカーボンブラックとコンクリートが相性抜群であることを発見します。
セメントと水を混ぜると固まる過程で内部には網の目のような「細孔」が形成されます。もちろん、この状態で電気を通すことはありません。しかしカーボンブラックを混ぜると、水を嫌うカーボンブラックはセメントペーストに混ざらず、余分な水分とともに細孔にたまります。そして、水分が蒸発した後には細孔の周囲に留まったカーボンブラックが網の目のようにつながります。これによって電気の通り道が形成され、コンクリート自体が巨大な電極に変貌するのです。
この技術はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が2023年に発明・発表しました。
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蓄電コンクリートが持つ大きなメリットは、水・セメント・カーボンブラックという、ごくありふれた材料だけで製造できる点です。リチウムやコバルトといった高価なレアメタルや、大掛かりな設備は必要ありません。
さらに、蓄電コンクリートは「半永久的な超・長寿命」でもあります。スマホなどに使われているリチウムイオン電池の寿命は平均2年ほどとされていますが、蓄電コンクリートは化学反応と違って物理的な現象を利用しているので、充放電によって劣化することがほとんどありません。スマホのリチウムイオン電池のサイクル数(電池残量が100%から0%になって充電を繰り返す回数)はおよそ300〜500回ですが、蓄電コンクリートのサイクル数は、なんと100万回以上。数十年単位で使えると考えられています。
また、蓄電コンクリートは化学反応を待つ必要がありません。一瞬で大量の電気を出し入れできる優れた応答速度が強みで、さらに高い安全性も持ち合わせています。化学物質の爆発的な反応が起きないため、熱暴走や発火のリスクは低いほか、普通のコンクリートと同じく、人が直接触れても問題ありません。
これらに加えて、蓄電コンクリートはコンクリート自体が電極となるので、3Dプリンターを使って成形も可能です。建物や建物の基礎として、街中のベンチやモニュメントとして、さらには道路に使用するなど、「デザインの自由度」が高い点もメリットです。
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蓄電コンクリートの課題は「性能(エネルギー密度)」ですが、その課題は体積でカバーできます。例えば、家1軒分の基礎や床下に蓄電コンクリートを使えば、一般的な家庭が1日に使う約10〜12kWhの電力を蓄電できるといわれています。
将来的には太陽光パネルで発電した電力を床下のコンクリートに貯めて夜間照明や家電を使う際に消費したり、家自体を蓄電池として災害時の電力をまかなえたりするかもしれません。さらに、蓄電コンクリートは充放電時にほんのり発熱するので、その熱をそのまま住宅の「床暖房」として活用する可能性もあります。
蓄電コンクリートは交通インフラにも活用できます。道路を蓄電コンクリートで舗装して路面が電気を蓄えれば、電気自動車が走りながらワイヤレス充電できる「スマート道路」になりますし、蓄電コンクリートでできたトンネルや橋ではコンクリートから電力を供給できる照明がつくれるでしょう。
他にも、街中のベンチを蓄電コンクリートにすればスマホをベンチに置くだけで充電でき、街灯の土台として使えば電線なしで夜間照明を確保できるなど、活用方法は広がります。
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蓄電コンクリートは2027年に商品化が目標とされています。国内では45社が結集した工業会が発足し、大量生産も見えてきました。身の回りのあらゆるコンクリート構造物に蓄電機能が溶け込んでいる…まるでSFのようなインフラが実現しようとしています。
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