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飲食業界で活躍する配膳ロボット。完全無人化ビジネスはどこまで進化する?

2023.3.27

セルフレジや、ファミリーレストランに導入されている配膳ロボットなど、私たちの身の回りにあるサービスの一部を、ロボットをはじめとした色々な機械たちが担い始めています。新型コロナウイルス感染症の流行はその流れをいっそう後押ししました。こうした無人化ビジネスには、どのようなメリットがあるのでしょうか。無人化ビジネスの現状と今後の見通しを解説します。

普及し始めた配膳ロボット、人と協働できる安全性

配膳ロボット 飲食 店

すっかりおなじみになった、自走する配膳ロボット(自律移動ロボット)。例えばある外食チェーン企業には、2022年時点でグループ全体の約7割、2000店舗以上にこの配膳ロボットが導入されました。食事を注文者のいるテーブルへ運んでくれる配膳ロボットの存在は、忙しい店員さんにとっては大助かりです。
実は、こういった配送・配膳ロボットはレストラン以外でも活躍しています。ホテルや病院、コンビニなどで、荷物やカルテ、ルームサービスの食事を運ぶなど、人の仕事を手伝うロボットを見たことのある方も多いのではないでしょうか。

日本が抱える深刻な人手不足を考えると、こうした流れは当然のことかもしれません。ましてロボットは休憩を要求することもなく、疲れてパフォーマンスが落ちることも、うっかりミスをすることもありません。ある配膳ロボットは、人間が1日に200〜300皿運ぶところを400皿運ぶことができますし、別の配膳ロボットは1日に9時間分の作業を効率化できます。センサーを使って人や障害物を避けてくれるので、安全対策も万全。配膳ロボットの働きぶりには客の評判も上々です。あるアンケートでは約9割以上が「満足」「大変満足」と答えました。さらには、スタッフ募集にあたって「ロボットと一緒に働ける」という文句を入れたところ、これまでの14倍という応募が殺到した店舗もあるほど。今や配膳ロボットはお店の「ウリ」にもなっています。

デメリットといえば導入のための初期費用。配膳ロボットの価格は約150万〜300万円、レンタルであれば月7万〜10万円程度かかります。とはいえ、長期的に見ればかなりの人件費節約になるでしょう。自律移動ロボットの世界市場は、2026年に2019年の約4.8倍になると予測されており、今後も導入する企業は増えると考えられます。

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セルフレジから無人レジへ。さらには無人コンビニも?進む無人化ビジネス

ここまでで紹介したロボットの仕事は、あくまで人が行う作業のサポート役でした。機械化の流れはさらに前へ進もうとしています。その流れとは、お店の「無人化」です。例えばセルフレジを導入することで、多くの店が人件費を削減しています。購入したものを客自身が精算するというのは、かつては小売店にとって画期的なことでした。しかし今では、客が自らバーコードを読み取ったり、機械相手に支払いをしたりする行為はごく普通のことになりつつあります。

中には何種類もの商品を一瞬で計算できる高性能のレジを取り入れている店舗も。あるアパレル企業が販売している商品のタグには薄い電子回路が埋め込まれています。購入したい商品をカゴにまとめてレジに置くと、無線でタグを読み取って瞬時に合計金額を算出。他にも、あるパン屋ではセンサーでパンの種類を読み取って精算するレジも登場しました。

また、精算だけでなく受付や注文も機械で行えるようになりました。多くのファミリーレストランや回転寿司店ではタブレットを使って注文ができますし、病院やホテルの受付・チェックイン・チェックアウトも自動で行えるところが増えてきました。ガソリンスタンドではセルフの店舗が一般的になり、スタッフが対応してくれるスタンドを見つけるのが難しいほどです。

とはいえ、ロボットや機械はイレギュラーに弱いもの。そのため、多くの店舗ではセルフレジやロボットを導入しても、人間のスタッフも最小限の数で雇用しています。しかし、そうした経営方法さえ、少しずつ変化しています。完全無人化店舗の登場です。

顔パス?ウォークスルーで入店から決済まで完全無人化へ。無人化ビジネスの展望

配膳ロボット 飲食 店

完全無人化の店舗というと、まず思い浮かぶのがコインランドリーでしょう。しかし、最近話題になった新しい無人化店舗といえば、コンビニエンスストアです。入店前に本人確認やクレジットカードの登録などを済ませておけば、商品を棚から取ってそのまま出るだけ。出口で自動精算されるのでセルフレジさえ不要な「ウォークスルーコンビニ」になっているのです。新しい時代の新しい「顔パス」ですね。

コンビニ以外でも、無人店舗の試みは始まっています。このスタイルを導入しやすいのが、会員制のお店や自社の社員だけが利用できる社内店舗。また、利用前にメールやSNSで通知された暗証番号を使って店内に入り、髪のセットや着替えができる無人サロンも登場しています。こうした店は人件費を削減できるだけでなく、現金を置かずに運営できるため、防犯の面でも安心です。入店者の行動をセンサーで検知し、データ化して蓄積することにより、購入商品のデータと併せて分析、利用できるというメリットもあります。商品の賞味期限を管理して値引きしたり、時間帯で割引したりといったことも、システム上で自動対応可能。より効率的な商品やサービスの展開に役立ち、食品ロスを防ぐことにもつながります。

もちろんシステムには改良の余地があり、商品のレイアウトや発注など、人間が行ったほうが良い作業もあります。すべての店舗が無人化される時代はまだまだ先のことでしょう。それでも機械ができることは機械に任せ、私たちが人間ならではのサービスにいっそう力を入れることのできる時代が、現実のものになっています。

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ヒトとテクノロジーが協働する、省人化と無人化システムの共存で進化する社会

キャッシュレス決済やセルフレジなどの機械の接客に抵抗がある人も、今はまだ多いかもしれません。それでもテクノロジーによる省人化・無人化には多くのメリットがあり、私たちの生活を向上させてくれることでしょう。アフターコロナの時代において、ヒトとテクノロジーは共存して社会を発展させていこうとしています。

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【執筆】ユピスタ編集部
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