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スピードクラス?容量?SDカードの規格の違いと選び方とは?

2025.5.26

ゲーム機やドラレコに欠かせないSDカード。でも、いろいろな種類がある上に、値段もそれぞれ違います。ラベルにたくさんの数字や記号が記載されていて戸惑うこともありますよね。本記事では、SDカードとmicroSDカードの違いから、SDカードのスペックや用途に合わせた選び方まで、SDカードの基本を解説します。

SDHC、SDXC…?容量とサイズで見分けるSDカードの基礎知識

SDカード

2000年に登場したSDカードは、今やカメラやドライブレコーダーに欠かせない記録メディアです。CFカード(コンパクトフラッシュ)という大きなカードもありますが、やはり使いやすいのは切手サイズのSDカード。そのミニチュア版ともいえるmicro(マイクロ)SDカードが2005年に登場し、スマホやゲーム機などに使用されています。

SDカードは保存可能な容量によって正式名称が異なります。2GBまではSD(microSD)、4GB〜32GBはSDHC(micro SDHC)、64GB以上がSDXC(micro SDXC)。容量64GBの一般的なSDカードの場合、保存できるデータの目安は写真で約7000〜1万枚、動画は約10時間(フルHDなら約3時間)、音楽(MP3)は1万6000曲程度で、128GBのカードなら単純にその2倍です。ちなみに2024年1月現在において、市販されているSDカードの最大容量は2000GB(2TB)。また、多くの場合はアダプターを使えばmicroSDカードもSDカードとして使用できます。

気を付けなければならないのは、SDHCカードはSDHC・SDXC対応機器のみ、SDXCカードはSDXC機器だけにしか使用できないという点です。対応していないSDカードを挿入しても反応しないので、購入・使用前に機器側の確認をすることが大切です。

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カードのスピードとは?快適な利用のために理解したいSDカードのラベル

SDカードを購入する時、たいていの人はまず容量をチェックしますが、同じ容量のカードでもひとつひとつ値段がかなり違うことに戸惑いますよね。もちろんメーカーによりますが、主な値段の違いはデータの転送速度や書込速度によるものです。

こうしたスペックはカード表面のラベルを見ると分かります。まず「MB/s」の単位で表されているのはデータの「最高転送速度」で、95MB/sなら1秒間に95MBのデータを転送できるという意味です。2つの転送速度が併記されている場合は、それぞれ読み込み速度と書き込み速度を表します。書き込み速度が速ければSDカードへの保存がスムーズになり、読み込み速度が速いとPCなどへの転送時間が短くなります。

動画撮影や連写など、多くのデータをカードに保存・転送し続ける場合は、スピードクラスも関係してきます。ラベルに表記されているマークのうち、Cの中の数字(スピードクラス)、Vの横の数字(ビデオスピードクラス)、Uの中の数字(UHSスピードクラス)は、いずれも書き込みの「最低速度」を保証する規格。これらの数字が大きければ大きいほど、SDカードへ大量のデータをスピーディに書き込めます。

こうした数字が大きくなるほど高品質・高機能であるのは確かですが、そのぶん値段も上がるので機器に合わせた適切なSDカードを選ぶことが重要です。

SDカードに寿命はある?過酷な環境下で求められる耐久性

SDカード耐久性

近年、異常気象が問題視され、地球環境は大きく変化しています。急激な温度変化はもちろん、高温多湿や極寒などの過酷な環境下においても、SDカードには安定した記録性能が求められます。

SDカードの耐久性を考える際にまず知っておくべきことは、記録媒体としての寿命です。SDカードの寿命は、主にデータの書き換え回数によって左右されます。

コンシューマ向けのSDカードに使われるNAND型フラッシュメモリには、1セルに保存するビット数により、主として2ビットのMLC(Multi Level Cell)、3ビットのTLC(Triple Level Cell)、4ビットのQLC(Quad Level Cell)のチップが用いられています。書き換え回数としては、MLCが約8,000〜1万回、TLCが約3,000〜5,000回、QLCが約500〜1,000回とされています。

つまり、1つのセルに保存する情報量が少ない(MLC)のSDカードのほうが、寿命が長く維持できるといえます。一方、セルに保存する情報量が多いほど、データの転送スピードは低下しますが、製品は安価で大容量となります。従来は、高速かつ信頼性の高いSDカードにはMLCを、耐久性や転送速度よりも安価さと大容量を求める場合はQLCを採用するという選択が一般的でした。ただし、技術開発によりQLCの品質も向上しています。

SDカードの耐久性は、書き込み回数だけではなく、防水・防塵性能やメディア自体の強靭さも重要です。そこで、各メーカーは、素材や成型方法など製造工程の段階から耐久性を高めるための改善に取り組んでいます。水中や落下時の試験、SDカードスロットに挿入する際の曲げに対する負荷テストなど、様々な環境や使用状況を想定し、壊れにくい記録媒体の実現を目指しています。

特に、ドライブレコーダー、監視用防犯カメラ、プロ用撮影機材に搭載されるSDカードは、データの消失を最小限に抑える高い耐久性が求められます。ドライブレコーダーの場合、夏季には車内温度が異常に上昇しやすいため、耐熱性が特に重要です。SDカードを選ぶ際には、信頼できるブランドであり、高耐久性の実績がある製品を選ぶとよいでしょう。

ユピテルのドライブレコーダーには、繰り返しの上書きに強い高耐久MLC方式のmicroSDカードが付属しています。

次世代SDカードは、大容量と高速転送の規格をチェック

次世代SDカード

大容量データの高速転送ニーズの高まりに伴い、次世代SDカードの規格によって記録容量や転送速度が大幅に向上しています。これにより、4K・8K・12Kなどの超高精細動画の撮影や、連写撮影時のパフォーマンス向上といったメリットがもたらされています。

現在普及しているSDカードの規格はSDXCであり、多くの機器が対応し、安価に提供されています。SDXCの記録容量は最大2TB、転送速度はUHS-II使用時で約312MB/sです。

まず大容量に関しては、2018年に最大128TBの容量に対応するSDUC(Secure Digital Ultra Capacity)が登場しました。SDUCはUHS-I、UHS-II、そしてUHS-IIIといった高速インターフェースにも対応しています。ただし、SDUCを利用するには対応機器が必要となるため、2025年時点では対応製品が非常に限られています。また、SDUCは高速インターフェース規格であるSD Expressとの組み合わせを想定した規格であるため、今後の技術動向に注意が必要です。

次に高速転送についてですが、従来のSDカード向け高速インターフェース規格であるUHS-IIの後継にあたるUHS-IIIが登場しました。UHS-IIIはUHS-IIの約2倍、最大624MB/sの転送速度を実現しています。さらに、UHS-IIIはカード裏面に2列の端子を採用しているため、UHS-IやUHS-IIとの後方互換性も備えており、物理的構造を変えずに高速化を図っている点が大きな利点です。

注意すべき点として、SD Expressは現在、UHS-IIIを上回る985MB/sの高速転送を実現しており、将来的には4GB/s以上のスピードを目指している点が挙げられます。このように各種規格が乱立している現状では、安易に大容量かつ最先端の高速転送メディアを選ぶのではなく、実際の使用環境や安定性を考慮して記録媒体を選択することが賢明です。

写真用、ドラレコ用 どれがベスト?SDカードの選び方とメンテナンス

SDカード

SDカードは用途に合わせて選びましょう。ダウンロード版のゲームを保存するなら、最低でも容量128GBは欲しいもの。一方、ドライブレコーダーなどに使う場合は、トラブルが何もなければ上書きを繰り返せばよいため、容量が大きくなくても問題ありません。ただし、高頻度のデータ書き換えに耐えること、真夏や真冬の車内でも正常に機能することが求められるので、パッケージにある「高耐久」「耐温度」の表示に注目します。

カメラでの動画撮影ならスピードクラスが重要です。UHSスピードクラス3、ビデオスピードクラスがV30以上のものならば、4K動画録画もスムーズに撮影・保存できます。野外での撮影が多い場合は、防水・防塵仕様のカードが安心。もちろん、カードが汚れていたり、水滴がついていたりする場合は、必ず拭き取ってから使用しましょう。

SDカードに保存したデータはパソコンやHDDに転送・保存しておくことをおすすめします。SDカードは静電気に弱いので、衝撃を受けるとデータが壊れることがあり、さらにはうっかりデータを削除してしまったり上書きしてしまったりすることも考えられます。また、SDカードは経年劣化します。書き込み回数にも上限がありますし、同じものを何年も使い続けると、SDカードの端子が傷ついたり折れ曲がったりして認識しなくなることもあります。SDカードは消耗品のため、大事なデータは入れっぱなしにせず、外部デバイスに転送して安全に保存しておきましょう。

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SDカードもmicroSDカードも!上手に使って安心・安全なデータ保存

機器のストレージは年々大きくなりつつありますし、データをクラウドに保存している人も増えています。それでもSDカードやmicroSDカードは日々の生活に欠かせません。デバイスに合った最適なカードを選び、大切なデータを上手に保存・利用したいですね。

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※SD、microSD、SDHC、microSDHC、SDXC、microSDXCロゴはSD-3C,LLCの商標です。

(2024年3月18日新規掲載:2025年5月26日更新)


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【執筆】ユピスタ編集部
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