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スピード違反に注意!罰金や点数次第で免停も 生活道路の法定速度変更へ?

2025.7.28

2026年9月に生活道路の法定速度を時速30kmに変更するという方針で法律の見直しが進んでいます。住宅街の狭い道路で起こる歩行者や自転車と車の衝突事故は後を絶ちません。でも、なぜ生活道路の最高速度は「時速30km」に制限されるのでしょうか。スピード違反による点数や反則金(罰金)などをおさらいしながら、生活道路における安全について考えます。

ゾーン30では不十分? 生活道路の法定速度引き下げの背景

スピード違反

2026年9月を目標に、警察庁は生活道路の法定速度を時速30kmに引き下げる方針を決定しました。法定速度とは速度標識がなくても守らなければならない最高速度のことです。

これまで、高速道路以外の道路における法定速度は時速60kmでした。つまり、速度標識がない一般道路では、時速60kmまでなら出しても良いことになっていました。しかし、改正後は生活道路では時速30km以内で走行しなければなりません。なお「生活道路」は明確に定義されていませんが、センターラインや中央分離帯などがなく、幅5.5m未満の狭い道路が対象となる予定です。

国土交通省によると、歩行者や自転車に乗っている人が死亡する交通事故は、半数が自宅から500m以内で起きているそうです。その多くは生活道路で起こった事故だと考えられます。また生活道路で死傷する人の多くは小学生や、75歳以上の年配者という痛ましいデータもあります。

2011年には、特定エリアの最高速度を時速30kmとする「ゾーン30」が制定されました。また、2021年には道路上に凹凸を付けるなどして自動車の速度を物理的に落とす「ゾーン30プラス」が整備され、一定の成果をあげています。

それでも車が住宅街で歩行者に突っ込むといった重大な交通事故は後を絶ちません。交通弱者を守るためのさらなる対策として期待されているこの改正は、早ければ2026年9月に施行される見通しです。

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速度制限と交通事故に見る致死率の関係 時速30kmへ法定速度を見直すのはなぜ

生活道路の法定速度がなぜ『時速30km』に見直されるのでしょうか。その理由のひとつは、自動車の速度が時速30kmを超えると、歩行者の致死率が大きく上昇するためです。

生活道路を対象にしたある調査では、車の時速が30km以内の場合、人対車の致死率は1%以下ですが、30kmを超えると3%に上がり、40kmを超えると8.4%、50km以上では17%と急上昇することが明らかになりました。

路面の状態や搭乗者の数などによる違いはあるものの、車が危険を察知しブレーキをかけた時に効き始めるまでの反応時間はおよそ1秒前後といわれます。さらに、そこから完全に停止するまでの距離(制動距離)は、速度が上がるにつれて伸びます(速さの2乗に比例)。計算上では、時速20kmなら9mで止まれるところが、30kmになると14m、40kmでは停止までに22mもかかってしまいます。雨の日やドライバーが疲れている時、この距離はもっと伸びてしまうでしょう。

また走行中のスピードが上がると、ドライバーは視野が狭くなり、どうしても危険に気づくのが遅れてしまいます。信号や横断歩道、カーブミラーなどが設置されていない生活道路はたくさんありますし、日本は海外に比べて歩道の整備も遅れていると言われています。ドライバーと歩行者の双方にとって危険が大きい生活道路について考えた時に出てきたのが、「時速30km以内」という数字なのです。

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スピード違反の反則金と点数 一発免停は何キロオーバーから?

交通安全対策

「生活道路の法定速度30km」が施行された後、それを超える速度で生活道路に侵入すれば、もちろんスピード違反となります。もしスピード違反で取り締まりを受けた場合、どのような罰則を受けるのでしょうか。

15km未満オーバーの速度超過の場合、違反点数は1点で反則金は9000円、15〜19kmオーバーでは点数は同じですが反則金は12,000円となり、さらに超加速度が大きくなると、違反点数も反則金も大きくなっていきます。

交通違反の点数一覧表

引用:「交通違反の点数一覧表」(警察庁)を加工して作成

この違反点数が6点になると30日間の免許停止、さらに15点になると免許取り消しの対象となります。ちなみに30kmオーバーが6点なので、ここがいわゆる「一発免停」のラインになるわけですが、これはあくまで前科がない場合の話。

違反点数はスピード違反だけでなく、駐停車違反や信号無視違反など様々な反則行為に対して設定されています。この点数は3年間累積されていくので、何度かこうした違反を重ねていると数キロのスピード違反でも免許停止や免許取り消しを受ける場合があります。

見通しが良く人や車が少ない走り慣れた生活道路では、時速30km以内の速度で走行することに慣れる必要があります。

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オービス

スピード違反の取り締まりに使われるのは、通常、オービスと呼ばれる速度違反自動取締機です。オービスは目覚ましい進歩を遂げてきましたが、最近注目されているのは「半固定式」のオービスです。

これは土台部分を固定しておき、オービスカメラだけをランダムに移動させて取り締まりを行うというもの。神出鬼没なので速度抑制に、より効果があると考えられています。2024年時点で稼働している拠点数はまだ少ないようですが、警察庁によると2030年には100を超える計画だそうです。

一方、生活道路に設置されるのは、おもに三脚などに立てて使われる「移動式」のオービスです。移動式オービスの進化も著しく、レーザー光を使う新型オービスは、重さわずか15kgしかありません。

オービスを光らせてしまった場合、数日〜1か月ほど後に警察署への出頭通知書が届きます。この出頭通知書を無視し続けていると、逮捕される可能性もあります。スピード違反をしないことが一番ですが、出頭通知書が届いたなら素直に出頭しましょう。

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ながら運転、あおり運転…生活道路の安全を守るために気をつけることは?

運転

生活道路を運転する場合、気をつけなければならないのはスピード違反だけではありません。たとえ時速30km以内で走っていたとしても、交差点で徐行しないなどの危険な運転を行っていると、「安全運転義務違反」に問われることがあります。

もし「安全運転義務違反」で取り締まりを受けると、違反点数は2点、反則金は9000円です。交通規則や標識がなくても周囲の状況に応じてスピードを落とす、確認をしっかり行うなど、常に安全運転を心掛けることが必要です。

また、スマホを操作しながら運転する「ながら運転」については、2019年に罰則が強化されました。通話や画像注視をしながら運転した場合、違反点数はこれまでの1点から3点になり、反則金も6000円から18,000円と3倍に大幅アップ。さらに、もし「ながら運転」によって事故を引き起こしてしまった場合は一発免停となり、「1年以下の懲役・又は30万円以下の罰金」が科されます。

2020年からは、「あおり運転(妨害運転)」への罰則も創設されました。これまで取り締まりの規定がなかったあおり運転ですが、現在は一回の違反で免許取り消し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科されます。

今後も法定速度の厳格化だけでなく、危険な運転行為の処分がより重くなっていくことが予想されるので、安全運転全般により注意を払うことが重要です。

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ドライブレコーダー・レーダー探知機が果たす安全運転サポートの役割

レーダー探知機

最近は様々なテクノロジーを活用して、道路の安全を守ろうという取り組みも進んでいます。そのうちのひとつが、ドライブレコーダーやレーダー探知機です。

ドライブレコーダーは万一事故が起こったときの証拠保存に役立ちますが、なかには安全運転サポート機能を持つものもあります。こういったドライブレコーダーなら、前方車両との距離の接近や車線からのはみ出しをドライバーに警告してくれます。
また、レーダー探知機は運転に注意が必要な場所をお知らせしてくれるだけではなく、運転中に気付き難い制限速度の切替えポイントや、無意識の速度超過を注意喚起する機能が備わっており、新しい制限速度が適用される新たな交通事情において、ドライバーの運転をサポートする有効なアイテムといえます。

ドライバーの運転操作を支援する機能を搭載した車も普及してきました。FCW(前方衝突警告)、NV/PD(ナイトビジョン/歩行者検知)、BSM(死角モニタリング)などは自転車や歩行者の多い生活道路での安全運転に大きく役立つでしょう。

さらにAIによる運転アシスト機能も進化しています。たとえば自動車で音声アシスタント機能を利用できれば、ドライバーは前方から目をそらすことなく、カーナビやオーディオを安全に操作することができます。またAIが運転を監視・警告したり、ドライバーの運転データを分析したりして運転スキルを改善するといったサポートも期待されています。

どんなに注意して運転していても、人間が運転する以上、判断が遅れたり判断を誤ったりすることが100%ないとは言い切れません。こうした最新のテクノロジーがドライバーの安全運転を多角的にサポートすることで、生活道路がより安全になることを期待したいものです。

安全運転サポート機能が搭載されているドライブレコーダー
全方面3カメラドライブレコーダー Y-3200
超高精細 前後2カメラドライブレコーダー Y-4K-02
360°&リアカメラドライブレコーダー ZQ-60AI

速度管理をサポートするレーザー&レーダー探知機
レーザー&レーダー探知機 YK-3100
レーザー&レーダー探知機 YK-2100
レーザー&レーダー探知機 YK-110

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歩行者の多い生活道路では、ドライバーにいっそうの注意が求められます。生活道路の法定速度引き下げは交通弱者である歩行者の保護だけでなく、スピード違反や事故の危険からドライバーを守るための改正でもあるといえるでしょう。

(2024年8月5日新規掲載:2025年7月28日更新)

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【執筆】ユピスタ編集部
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