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宇宙SFは実現した?サイエンスフィクションの予言と宇宙探査の現実

2023.7.19

今では当たり前とされている技術の多くが、さまざまなSF(サイエンス・フィクション)の作品内で予言されていたことをご存じでしょうか。本記事では、夢物語から現実のものとなった多くのテクノロジーをご紹介しつつ、科学に大きな影響を与えたSFの力を考えます。

サイエンスフィクションの世界は夢物語か未来予測か 宇宙SFの予言

私たちの身の回りには、至るところにSFが「予言」した技術が使われています。例えば、スマホそっくりの通信機器は1960年代の人気SFテレビドラマに登場しています。スマートウォッチも1940年代のアメリカンコミックスに腕時計型通信機として描かれていますし、そもそもインターネットの概念さえ、1950年代のSF小説で予言されていました。

1968年に公開された「SF映画の原点」と言われる『2001年宇宙の旅』という映画には、タブレットやテレビ電話、人工知能との会話などが、ほとんど現在と変わらない姿で登場しています。潜水艦やドローン、空飛ぶクルマもSFで予言されていた技術です。潜水艦はジュール・ヴェルヌが1870年に発表した『海底二万里』という小説に出てきますし、100年以上前から多くのSF作家が夢見た空飛ぶクルマは、(自動車型ではありませんが)ほぼ完成しており、お披露目も近いようです。

さらに、SFが発信源となったことで有名なのがロボットです。「ロボット」という言葉はチェコ語の「強制労働者」という意味の「ロボトニック」に由来する造語で、1920年のSF戯曲で初めて使用されました。ロボットと言えば、最近になって液体金属のロボット開発が成功したとか。檻の中に入れられたロボットが液体になって脱出する様子は、あの有名なSFアクション映画のよう。SFの予言はもちろん地球上にとどまりません。宇宙を舞台にした壮大な宇宙SFにおいても、夢のような技術が数多く実現しています。

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予言は現実に 人工衛星に宇宙ステーション。実在する宇宙SFとは

SF

予言で有名な宇宙SFの作品と言えば、前述のジュール・ヴェルヌによる『月世界旅行』です。1800年代後半に発表されたこの小説は、アルミニウムのカプセルに3人の男性が乗ってフロリダから打ち上げられ、月を周回して帰還し、太平洋に着水するというもの。これは約100年後の1986年に『アポロ8号』が実現しました。乗り物の形や搭乗員数、打ち上げ地点までそのままだったので、ヴェルヌは「未来を透視したのでは」と言われたほどです。

そして、人工衛星もSF界ビッグ3のひとり、アーサー・C・クラークが1945年に描いています。クラークは赤道軌道上に衛星を打ち上げ、それを利用して全世界でテレビ放送を行うという小説を書きました。このアイデアは20年後に実現しています。

宇宙旅行も多くのSF作品に登場してきましたが、ご存じの通り今では民間の宇宙旅行計画が進行していますし、2024年には宇宙レストランのオープンまで予定されています。その内容は成層圏まで行けるカプセルに乗って上昇し、宇宙から地球や星を眺めながら食事を楽しむものだとか。トータルで1780万円と少々お値段は張りますが、2025年半ばまで予約が入っているそうです。

SF作家には科学者を取材してアイデアを練る人も多く、科学者が本業だとか元科学者だとか、科学の素養がある作家も少なくありません。そう考えると、SFが単なる夢物語ではなく「未来予測」や「予言」になることも驚くことではないのかもしれませんね。

火星移住での自給自足生活、宇宙エレベーターは実現可能?夢の宇宙SFの現在地は

SF

まだ実現はしていませんが、今後が期待されているSF発のアイデアに「宇宙エレベーター」があります。これは静止衛星から地上にケーブルをおろし、昇降機を取り付けて人や物を運ぶというもの。こちらも前述のクラークが1979年に発表したものですが、今、日本の大手建設会社が開発を進めています。計画通りに開発が進めば、それほど遠くない将来、特別な訓練を受けることなく、3万6000km上空の宇宙へ気軽に行き来できるようになるでしょう。

SFには欠かせない宇宙や他の星での暮らしについても研究が進んでいます。例えば現在の技術では火星までの往復に3年近くかかりますが、イオンエンジンという新技術を使えば、3カ月や40日で到着可能。宇宙ステーションでは植物の栽培や人工重力の実験が行われており、「惑星移住」の実現が近いことを示唆しているようにも思えます。

また、SFはテクニカル面以外でも、科学に多大な影響を与えてきました。宇宙旅行を始めて行ったアフリカ系アメリカ人女性は、人気SFドラマに登場するアフリカ系の女性キャラクターに影響を受けたと語っています。他にも、『鉄腕アトム』に憧れて科学者になったという人も。SFはただ夢を与えるだけでなく、考え方や価値観の変化に影響を与えてきたのです。

クラークは、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」と語りました。これからもSF発信のアイデアは、まるで魔法のような技術を可能にし、社会を牽引していくかもしれませんね。

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不可能を可能に?実現不可能なテクノロジーと宇宙SFの夢は未来に受け継がれる

フォースという不思議な力で光る剣は科学的に不可能だそうですし、物騒なSF兵器の数々は実現しないで欲しいもの。タイムトラベルや異星人との邂逅も、残念ながら実現の見通しは立っていません。とはいえ、科学の進化は多くの不可能を可能にしてきました。今は「SF世界の技術」だと思われているものが実現した世界が果たしてやってくるのか。楽しみですね。


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【執筆】ユピスタ編集部
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