車線からはみ出しそうになった場合のアラームや、ペダルの踏み間違いによる誤発進抑制機能など、日常の運転における「ヒヤリハット」を防ぐ安全技術は、今や多くの人にとって身近なものとなっています。こうしたなかで、車内の乗員に対する安全技術、「車内監視システム」も劇的な進化を遂げています。車内監視システムにはドライバーを見守る「DMS」と、乗員を含めた車内全体をスキャンして見守る「OMS」があります。これらの違いや、進化する車内監視システムの背景には何があるのか、欧州の新車安全評価機関における安全基準の変更とともに、自動車メーカーがしのぎを削るSFのような次世代モビリティの最新技術をご紹介します。
自動車に搭載されている車内監視システムは「インキャビン・モニタリング・システム(ICMS)」と呼ばれていますが、「何を・何のために」監視するかという視点で大きく2つに分けることができます。
ひとつは運転手だけを監視する「ドライバー・モニタリング・システム(DMS)」で、脇見や居眠り、意識喪失を検知して警告するシステムです。
もうひとつは「オキュパント・モニタリング・システム(OMS)」、つまり同乗者や車内空間全体を監視するもので、後部座席の子どもやペットの置き去り、シートベルトの締め忘れなどがある場合に通知します。
DMSやOMSはすでに多くの新型車に導入されています。
例えばDMSでは、ハンドルやダッシュボード付近に設置した赤外線カメラの映像からアイトラッキング技術を使ってドライバーの目線を常にチェックし、居眠りせずに目を開けているか、脇見をしていないかの判定をしています。さらに、注意力散漫になりやすい高速道路での手放し運転時には、ドライバーが前を向いていないとDMSが判断した場合、段階を経てハンズオフ機能が強制的に解除されます。
このほかにも、顔認証技術を利用してドライバーごとにあらかじめ設定したシートポジションやミラーの角度を自動調節するといった活用もされています。
一方OMSには、後部座席にいる同乗者の体温を赤外線センサーで検知し、エアコンの温度やシートヒーターを自動で制御するシステムの導入が進み、快適なドライブをアシストしています。
また、エンジン停止後に車内に残された子どもやペットの動きをミリ波レーダーなどのセンサーで検知し、スマートフォンへの通知やハザードランプで警告するシステムが組み込まれつつあります。
さらにスクールバスではセンサーやAIカメラを活用して置き去りを防止するなど、子どもたちの安全を守るシステムが導入されています。
☆あわせて読みたい
・ADASとは?自動運転との違い、あおり運転や高齢者の課題を解決する先進運転支援システム
・安全で快適な運転を支えるADAS。自動運転とはどう違う?
DMSやOMSが高性能化している背景には自動運転の進化があります。自動運転「レベル3」で運転の主体となるのは車(システム)ですが、緊急時にはシステムから人間に運転を交代するため、DMSによる運転手の状態把握が不可欠です。
自動運転のこうした状況に伴って、国際的な安全基準も強化されています。欧州の新車安全評価機関(Euro NCAP)では評価体系が再編され、新たな柱である「Safe Driving(安全運転)」評価のうちDMSに関する項目の比重が大幅に引き上げられました。つまり今後は、DMSが最高ランクの「5つ星」を取るために大きなポイントとなるのです。
加えて、審査基準も厳格化されます。よそ見をしたら警告音が鳴るという程度ではなく、「ながら運転」「酩酊状態」といった状態検知や、脳卒中などによる無反応ドライバーへの緊急介入によって安全に自動停止させるまでの一連の動きなどが評価の対象となります。「子どもの置き去り防止機能」の有無も評価に直結するため、世界中のメーカーが「5つ星」評価の獲得を目指し、高性能の車内監視システムの導入を進めています。
メーカーにとって「5つ星」が取れるかどうかは、世界市場での売れ行きに大きく関わる問題です。こうした動きは国産車の安全性をも左右するといえるでしょう。
☆あわせて読みたい
・自動運転のカギは画像認識にアリ。画像認識技術がもたらす安全便利な暮らし
・免許返納?進化する自動運転は高齢ドライバーを救えるか
DMS・OMSには最先端のAIが投入されています。そのひとつが非接触でバイタルや感情を読み取る技術です。例えば車を運転しているとき、眠気に襲われることもあるでしょう。人間の身体は、眠りに落ちる前から肌の血流量や心拍数が変化しています。最新のDMSに搭載されているAIは、カメラの映像やセンサーのデータから肉眼では見えない肌の血管の動きや血流量の変化を解析して心拍数を推定、眠気の到来を予測します。その予測をもとに、エアコンの温度を下げたり、目が覚めるような音楽を流したりして居眠り運転を防ぐようドライバーに促します。
一方、OMSでは人の目に見えない光や電波が活躍しています。近赤外線のドット(点)を車内に向けて高速照射して乗員の3Dスキャンをしたり、ミリ波レーダーで呼吸による胸のわずかな動きを捉えて子どもの置き去りを検知したりと、SFのような技術を駆使しながら事故の防止に大きく貢献しているのです。
☆あわせて読みたい
・360度カメラで女性も安心!女性の運転を守るテクノロジーの進化
・オービスが光ったか不安!光り方や通知・罰金などその後の流れを知っておこう
自動運転や子どもの置き去り防止などの面からも、DMSやOMSといった車内監視システムはこれまで以上に必須技術となっていくでしょう。ドライバーと乗員をAIが常に見守る最高水準の安全テクノロジーと、それを支える驚異のハイテクがこれからの自動車を進化させ、「事故のない社会」を実現していきます。
ユピテルでは、レーザー&レーダー探知機と一緒に使える安全運転支援機器「OKITE」(OP-EWS2)をご用意しています。
本体のカメラでドライバーを撮影、画像処理により居眠りやわき見を検知して警告、安全運転をサポートします。
レーザー&レーダー探知機 最新モデルはこちら