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「空飛ぶクルマ」がレンタル中?関西万博を前に沸き立つ地方自治体のDX戦略

2022.11.15

2025年に開幕する大阪・関西万博。期間中、近隣の空港と万博会場をつなぐ「空飛ぶクルマ」がお披露目される予定です。政府だけでなく、各自治体も誘致・開発を推し進める、夢の「空飛ぶクルマ」。2025年に照準を合わせたそれぞれの取り組みと、今後クリアしていくべき課題を解説します。

「空飛ぶクルマ」に熱視線!地方自治体がテスト飛行に積極的

車を運転していて渋滞にはまってしまった時、この上を飛んで行けたら……と思うことって誰でもありますよね。「空飛ぶクルマ」は私たちの長年の夢でしたが、まもなくそれが夢でなくなろうとしています。

「空飛ぶクルマ」の開発においてターゲットイヤーになるとされているのが、2025年。というのも、この年に開催される大阪・関西万博で、「空飛ぶクルマ」が輸送サービスをするエアタクシーとして大々的にお披露目される予定となっているからです。さらにそれ以後、「空飛ぶクルマ」を社会実装・事業拡大につなげることが、大阪はもちろん国の目標となっているのです。政府のロードマップでも、2025年の関西万博で「空飛ぶクルマ」の商用運航を実現させることと、その後の事業化に向けた技術開発を進めることが掲げられています。

この大阪・関西万博での「空飛ぶクルマ」お披露目を目指しているのは、中国やドイツのメーカーと日本のベンチャー企業。実際に万博で何台の「空飛ぶクルマ」が登場し飛行するかは分かりませんが、すでに幾つかの企業は飛行実験に成功しています。中でも中国のある企業は、2022年7月に行われた「万博1000日カウントダウン」の式典で2人乗り試験機の無人飛行実験を成功させ、大きな注目を集めました。

「空飛ぶクルマ」に注目しているのは大阪だけではありません。この実験に使用された機体を所有する岡山の団体には、多くの地方自治体からテスト飛行の申し込みが殺到しているとか。福島・大分・香川ではすでにテスト飛行が行われるなど、期待の大きさがうかがえます。

各地で進む「空飛ぶクルマ」革命!関西万博に照準を合わせる

空飛ぶクルマ

「空飛ぶクルマ」の市場規模は2040年頃に自動車産業を上回るのでは、とさえ言われています。次世代のモビリティとして、地方での様々な問題をクリアし、環境にも優しい「空飛ぶクルマ」が自治体の注目を集めるのも無理はありません。中でも特に積極的な取り組みを見せているのが、万博を開催する大阪と、東京・愛知・三重・福島の5都府県。それぞれが特有のニーズを見据え、2025年を見据えた「空飛ぶクルマ」の開発・展開を計画しています。

例えば、大阪の「空飛ぶクルマ」はビジネス展開が前提。多くの民間業者と提携し、空港間の移動を含め、「空飛ぶクルマ」を事業として展開することを目指しています。大きなマーケット性をもち、たくさんの空港を抱え、気象条件も良い大阪は、そのためにうってつけの地だと言えるでしょう。

一方、三重県では社会インフラという面から、地方の足として利用することに注目しています。緊急時や医師のいない遠隔地・離島などへの医療サービス、高齢者や買い物弱者への活用。さらに、観光や山間地・海上などでの防災・産業の効率化にも「空飛ぶクルマ」は役立つと考えられます。また、福島では2020年に「ロボットテストフィールド」が全面開所しました。ここは実際に使用される環境を広大な敷地に再現した施設で、すでにドローン試験飛行が何度も行われ、200社以上の試験誘致実績を持っています。福島県は他の自治体との連携も視野に入れつつ、ここを「空飛ぶクルマ」の試験飛行拠点にできると考えています。

都市の交通としても。「空飛ぶクルマ」のDX戦略とは

空飛ぶクルマ

2025年のお披露目に向けて期待が高まる「空飛ぶクルマ」ですが、実用化や社会実装までにはまだまだ多くの問題をクリアする必要があります。例えば、技術面でまず挙げられるのが、バッテリー性能の問題です。人を乗せて飛べるほどの大容量バッテリーを搭載すれば、当然機体は重くなり、あまり遠くまで飛ぶことができません。

また、ルートの計算や確実にデータを送るための通信・コンピューター技術の問題も大きなハードルです。「空飛ぶクルマ」をナビゲートするためには、平面を走る車よりもはるかに高度な技術が必要となるでしょう。天候の悪い日でも安全に飛行できる部品・機体の開発も必要です。開発者によると、「空飛ぶクルマ」は無人ドローンの1万倍という安全性が求められるのだとか。加えて、「空飛ぶクルマ」が離発着するための場所やバッテリー充電拠点の整備、免許や安全基準に関する法整備、保険、予約システムなどの問題もクリアしなければなりません。

人々が安心して乗りたいと思えるような「空飛ぶクルマ」が完成するには、まだまだ多くの実証実験を重ねる必要があるでしょう。それでも「空飛ぶクルマ」には革命的ともいえる可能性があります。2025年のお披露目とその先の夢の実現が今から楽しみですね。

関西万博が待ち遠しい。「空飛ぶクルマ」が実現させる未来に期待

2025年は、「空の移動革命元年」になるかもしれません。世界中で400以上の企業が、「空飛ぶクルマ」の開発に乗り出しています。実用の期待が高まる「空飛ぶクルマ」。私たちが夢の実現を目にする日は着実に近づいています。

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【執筆】ユピスタ編集部
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