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燃料電池自動車とは FCV・FCEVの違いと水素ステーションの普及状況

2026.3.23

ガソリンなどの化石燃料を燃焼させる際の排気ガスには、地球温暖化の大きな要因となる二酸化炭素(CO2)が多く含まれています。日々のドライブで排出されるCO2への向き合い方も、私たちドライバーにとって無視できない課題となりました。こうした背景から、環境問題に対してこれまで以上に多くの関心が寄せられるようになっています。

このような中で「電気自動車(EV)」に続いて注目されているのが、排気ガスを出さない「燃料電池自動車(FCV/FCEV)」です。
一般には「水素自動車」という呼び名が浸透している一方で、これらの呼称を使う理由は?そこで本記事では、曖昧になりがちな呼称の意味、改めて整理しておきたい燃料電池自動車のしくみや電気自動車(EV)との違いを解説します。
また、燃料電池自動車(FCV/FCEV)がなかなか普及しない理由や、普及に不可欠な水素ステーションの設置状況を紹介するとともに、政府が掲げる目標の達成に向けた現状と今後の展望もまとめます。

FCV/FCEV(燃料電池自動車)とは 「水素自動車」という名称ではない理由

「FCV」「FCEV」は「Fuel Cell Vehicle」「Fuel Cell Electric Vehicle」の略称で、水素から電気を作り、その電気でモーターを動かして走る自動車を指します。どちらの呼び方も、「燃料電池自動車」を意味しますが、近年は電気自動車(EV)のひとつということを強調するため、海外では「FCV」より「FCEV」のほうが一般的な呼び方となっています。

しかし、水素が燃料なのに「水素(Hydrogen)」という言葉が名前に含まれていないのは不思議ですよね。このことに関してはいくつかの理由が考えられます。まずこの名称は水素から電気を作る「燃料電池」を意識しているという点です。また、現行の燃料電池車は水素を使っていますが、バイオエタノールなどから水素を取り出して発電する方法も研究されており、呼び方として包括的なものになっているという見方もできます。

しかし、水素から作った電気を動力とする燃料電池車(FCV/FCEV)だけが「水素で走る車」ではありません。水素をエンジンで燃やして動力を得る「水素エンジン車」もあります。このため、「水素自動車」という名称だけでは、水素から作った電気で動く車なのか、水素を燃やして動く車なのかが分からないのです。
そのため、名称に「水素(Hydrogen)」という言葉を組み込んで使用する場合は、「Hydrogen Fuel Cell Vehicle(水素燃料電池車)」と呼ぶこともあるようです。

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電気自動車(BEV/EV)との違いは?同じ「電池」でも大きく異なるしくみ

燃料電池自動車

一般的に電気自動車(BEV/EV)の名称で呼ばれる車と、燃料電池車(FCV/FCEV)は両方とも「電池」を搭載しています。しかし、それぞれに搭載される電池は、しくみが大きく異なっています。

まず、電気自動車(BEV/EV)の電池は、充電スタンドや専用コンセントなどを使い、外部から充電して電気を貯める「蓄電池」です。

これに対して燃料電池車(FCV/FCEV)の電池は、「電池」という名前ではあるものの、水素ステーションで充填した水素と空気中の酸素を化学反応させることで電気を作り出す、いわば発電所や発電機のような装置なのです。

燃料電池自動車

子どもの頃に理科の授業で水を電気分解して水素と酸素を発生させる実験をした方もいるでしょう。燃料電池は逆に水素と酸素を反応させて電気と水を作り出します。燃料を供給し続けることで発電するため、「燃料電池」という名前が付けられました。

燃料電池がこうしたしくみを持っていることから、燃料電池車(FCV/FCEV)は環境にとてもやさしい車といえます。燃料を燃やさないので排気ガスや振動を出すことがなく、排出されるのが水だけだからです。水素の充填にかかる時間は3分程度なので、電気の充電のように何時間も待つ必要はありません。さらに、水素はエネルギー密度が非常に高いので走れる距離も伸びます。現在、電気自動車(BEV/EV)の航続距離は約200〜600kmですが、燃料電池車(FCV/FCEV)なら一度の充填で約700〜800kmの走行が可能です。

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水素ステーション不足、補助金カット…燃料電池車(FCV/FCEV)普及の課題

燃料電池車(FCV/FCEV)が市販され始めたのは2014年ですが、10年以上経つ今でも普及したとはいえません。

原因のひとつは車両価格にありました。電気自動車(BEV/EV)の新車は軽自動車でおよそ200〜300万円、セダンだと500万円前後ですが、燃料電池車(FCV/FCEV)は700〜800万円という高額です。国内FCV新車販売台数は、2021年には2400台でしたが、2025年は431台に減っています。2026年度からは最大255万円だった補助金も、上限が大幅に減額されて150万円になる方針で、購入のハードルもさらに上がりそうです。

また、政府は車に水素を充填するための水素ステーションを2025年までに320か所設置する目標を立てていました。しかし、現状では年々その数が減少しており、国内で運用されているのは約150か所です。
これは水素ステーションを設置するコストが1か所あたり5億円もかかる上に、燃料電池車(FCV/FCEV)の台数そのものが少なく、収益性が低いという課題があるためです。さらには水素自体の価格が上がっていることに加え、ランニングコストもガソリン車や電気自動車と比較すると高くつきます。

日本政府は2035年までにガソリンエンジンのみを動力源とする純ガソリン車の新車販売終了を目指しています。この目標を達成へと導くカギを握る新時代の車として、燃料電池車(FCV/FCEV)の普及には注目が集まっています。

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持続可能な社会のためにー新型FCVの登場と水素インフラ拡大に期待

燃料電池車(FCV/FCEV)は持続可能な社会の実現に大きく貢献することができる車です。燃料電池車(FCV/FCEV)の普及を今よりもっと加速させていくためには、コストを抑えた新しい燃料電池車(FCV/FCEV)の登場が不可欠であり、水素ステーションの設置拡大を官民で盛り上げることが必要でしょう。

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【執筆】ユピスタ編集部
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