ユピテルが提案する、ライフスタイルを豊かにする情報コラム

白ナンバーのアルコールチェック義務化 テクノロジーが支える安全な社会

2023.12.25

2023年12月から、白ナンバーの車を使う事業者のアルコールチェック義務化が始まりました。
その機材は単純にアルコール濃度を検知するだけのものから、スマホアプリやパソコンとの接続が可能なもの、他のシステムとの連携、免許証による本人確認、顔認証を使ったなりすまし防止、さらには車両の使用状況を分析するものまで、様々なテクノロジーを駆使したものが開発されています。
そこで今回は、そんなアルコール検知器に関わるテクノロジーについて説明します。

白ナンバーにも適応?アルコールチェックの義務化で何がどう変わる?

2023年12月1日から「アルコールチェッカーによる酒気帯び確認」が義務化されました。これより前の2022年4月1日以降には、運転者の声や息のニオイなどによるアルコールチェックが義務付けられていましたが、新たに検知器を使用するチェックが加わった形です。また、義務化の対象には自社の荷物を自社の車で運ぶ、いわゆる白ナンバー車を一定数保有する企業も含まれることになりました。

今後、対象企業は担当となる安全運転管理者を選任し、運転者が乗車する前と後、目視などによる点呼とアルコールチェッカーによるアルコール検知を実施しなければなりません。また、その確認記録は1年間保存する必要があります。そして、これに伴ってアルコールチェッカーを保持し、常に正しく動作するようメンテナンスを行うことも求められます。この法令を守らなかった場合、直接的な罰則はありませんが、安全運転管理者の業務違反となり、罰金が科されたり業務が行えなくなったりする可能性があります。

警察庁によると、2022年中に発生した飲酒運転による交通事故は2167件で、そのうち死亡事故の数は120件でした。飲酒運転で死亡事故を起こす確率はアルコールを飲んでいない時の7〜9倍にもなると言われます。今回の法改正が行われるきっかけとなったのも、2021年に千葉県で起こった飲酒運転の白ナンバー車による死傷事故でした。この法改正によって企業の負担は増えますが、安全には代えられません。

☆あわせて読みたい
オービスの歴史を振り返り、スピード違反と安全運転について改めて考えてみる

半導体式と燃料電池式 アルコールチェッカーのメリット・デメリットとは

アルコールチェッカー

法改正によって多くの企業でアルコールチェッカーが必要となりますが、現行の機種は大半が半導体式のチェッカーか燃料電池式(電気化学式)チェッカーのどちらかです。

半導体式チェッカーは飲酒時に呼気中の酸素量が減少することを利用して判定する機器です。
検査時はチェッカーに微量の電気を流し、電気抵抗値を測定します。もしお酒を飲んでいれば、呼気中の酸素量が減少するため、電気抵抗値が低くなります。半導体式チェッカーのメリットは、機器の仕組みがシンプルなので価格が安く、結果がすぐに出ることです。一方、デメリットは精度がやや低いこと。ガムや歯磨き粉に含まれるキシリトールにも反応することがあります。メンテナンスは難しく、基本的に使い捨てで、主に家庭用・個人用として利用されます。

これに対し、業務用として利用されることが多いのが、燃料電池式(電気化学式)チェッカーです。
このタイプには吐いた息に含まれるアルコールを燃料にして発電するセンサーが搭載されており、飲酒量が多いほど発生する電気量も多くなることを利用して測定します。半導体式に比べて精度が高く、気温などの影響も受けにくいというメリットがあり、耐久性にも優れていますが、価格が高めで結果が出るまでに少し時間がかかるというデメリットもあります。

アルコールチェッカーは毎日何度も使うものだけに、それぞれの機器が持つメリット・デメリットを知り、使用人数や使用頻度、ランニングコストを考えて選ぶとよいでしょう。

☆あわせて読みたい
三密回避のCO2センサーだけじゃない。スマートホーム・IoTでのセンサーの活躍

顔写真の撮影でなりすまし防止機能も!最新アルコールチェッカーの選び方

アルコールチェッカー

その機能や法令との関係が注目される中、様々な新しい技術を搭載したアルコールチェッカーも登場しています。
例えばいくつかのアルコールチェッカーには、他人のなりすましを防ぐ機能が搭載されています。これは専用アプリでスマートフォンと連動させ、測定前に測定される人の顔写真や一連の様子をスマホで記録して、なりすましや検知器のすり替えを防ぐというものです。

また、記録を保存しやすいアルコールチェッカーもあります。測定結果をメールで自動送信できるもの、専用アプリで個々の記録を管理できるもの、クラウドシステムとの連携によって遠隔地でも管理しやすいものなどが発売されています。
ちなみにアルコールチェッカーの記録は帳簿やデジタルデータとして1年間保存しなければなりませんので、データ管理者にとってできるだけ負担が少ないタイプを選びたいものです。

世界的な感染症の流行もあり、衛生面が気になる昨今ですが、市販のストローを使用できるアルコールチェッカーもあります。
この他にもマウスピースをくわえるタイプは、息を吹きかけるものに比べて精度も高いので、特に従業員が多い企業などでは便利です。また、半導体式や燃料電池式以外に「第三の検知器」と言われる赤外線センサーを使ったものも開発中です。このタイプは反応時間が早く、連続して使用しても精度の高さを保てる点に期待が寄せられています。
今後はさらに便利で精度の高いアルコールチェッカーが開発されることでしょう。

☆あわせて読みたい
自動運転のカギは画像認識にアリ。画像認識技術がもたらす安全便利な暮らし

アルコールチェックの義務化で可能に 安全・安心なモビリティ

アルコールチェックが義務化されたことで、確かに企業の負担は増えるかもしれません。しかし、自社に合ったアルコールチェッカーを適切に選び、その機能とメリットをフルに活用することで、スタッフにとっても他者にとっても、より安全な車両運行が可能となり、事故のリスクが少ない安心な社会につながります。


ユピスタの更新情報をはじめ、ユピテルの最新情報をフォローしよう!
    Yupiteru_ch Yupiteru Yupiteru


【執筆】ユピスタ編集部
ユピスタ (Yupiteru Style) は、ユピテルが運営するテクノロジーやライフスタイルを扱う情報コラムサイトです。日々の暮らしをもっと面白く、もっと安心・安全に過ごすためのさまざまな情報を発信しています。