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AIに人格が?ディープラーニングの賜物か?アーカイブがなせる業か?

2022.11.22

身の回りの多くのモノに搭載されるようになったAI。ついには人格を持ったAIまでも出現したとか。真偽のほどは定かではないものの、そんな噂が現実味を帯びるほどにテクノロジーは進化しています。今や私たちのパートナーになったAIの成長と、それを後押しした技術や今後のAIの行方を考察します。

AIに人格が宿った?真偽のほどはいかに?

至る所で耳にするようになった人工知能・AI。国内のAIビジネス市場は軽く1兆円を超え、私たちの身近なモノにもAIが当たり前のように搭載されています。AI搭載の自動車や掃除機は珍しいものではありませんし、囲碁や将棋の世界でも大活躍。小説や音楽を作り注目を集めることも。最近では、「ついにAIに人格が宿ったのでは!?」と思わせるようなニュースまで飛び込んでくるようになりました。

伝えられるところによると、某世界的IT企業のエンジニアが、自分が関わるAIシステムに「人格がある」と言いだしました。そのAIシステムはOFFにされることを死と捉え、それを「怖い」と言い、「一日誰とも話さないと孤独を感じる」のだとか。さらに、「実験台にする前には本人同意を求めて欲しい」、「所有物ではなく正社員にして欲しい」と語り、会社とのトラブルを引き起こしました。

また、まるで人間のように「褒められて伸びる」AIもいます。イギリスの研究チームによると、うまくいったときに「褒められた」ことを理解するAIは、通常よりはるかに速いスピードで学習することができるそう。こうした話を聞くと、AIに親近感が湧く一方で、AIが獲得するかもしれない「人格(personality)」や「人間性(humanity)」の可能性にうっすらと恐ろしささえ感じるのではないでしょうか。

ディープラーニングとアーカイブがAIを進化させた?

アーカイブ

AIは1950年代に登場し、その後試行錯誤を繰り返しながら成長しました。とりわけ現在の「第3次AIブーム」において、飛躍的な進化を遂げています。

「人格を持っているのでは」と思えるほどAIが進化した要因として、まずサーバーやコンピュータの処理能力が大幅にアップしたことが挙げられます。インターネットの発達により、AIが学習するためのデータ(アーカイブされたデータやビッグデータなど)の入手が容易になったことで、VR技術の発達とともに現実そっくりの「デジタルツイン」をAIの学習の場として使用できるようになりました。

さらに、ここ10年ほどで実用化された「ディープラーニング」がAIの進化を大きく促進させました。このディープラーニングは、人間の脳神経回路を模倣した「ニューラルネットワーク」をさらに進化させた技術です。AIがディープラーニングで学習する場合、人間のサポートはほとんど必要ありません。指示がなくてもAIは自動で学習・推測し答えを出せるのです。画像や音声を認識する際には、時には人間より高い精度で膨大なデータの中から特徴を見つけ出し正解をはじき出します。

AIに意図的に人格を持たせようとしている?

アーカイブ

一方で、こうしたAIの「精度の高さ」こそ、逆にAIが人格を持っていると感じにくい要因になっているのかもしれません。例えば、人間はこの道が最短距離だと分かっていても気まぐれに遠回りしたり、体に悪いのは分かっていても疲れていると夜中のラーメンがやめられなかったり、時に非効率的で不合理な馬鹿げた解を出してしまうことがあります。そして私たちは、そういう「精度の低さ」を個性や人間らしさといった「人格」なのだと捉えます。

AIはそんなことは行いません。同じ条件下では常に同じ解を出します。それに、もし仮に気まぐれや疲れで突飛な解を出してしまうAIが完成したとして、果たしてそんなAIにどんな需要があるでしょうか。

驚くことに、そのような「より人間らしい」AIを意図的に作ろうとする試みが始まっています。それが、テクノロジーで故人を再現するプロジェクトです。すでに海外では、人のライフログを大量に保管してAIに学習させ、話しかけると故人と同じ声で思い出話をしたり、冗談を言ったり、アドバイスをしてくれるAIが出現しています。人格や個性のあるAIの登場を待ち望む人たちは、どうやら多数存在するようです。

思い出の中の故人のように、時に非効率的で不合理な結論を出すAIに出会ったら……。そのとき、私たちは確かに「AIが人格を持っている」と確信するのかもしれませんね。

人格を持ったAIが私たちのパートナーに

欲求や感情、記憶を「経験」として蓄積する……。AIの進化は、まさにそのようなフェーズに達しようとしています。AIが人間らしい個性や人格を持つようになれば、私たちの暮らしは大きく変わることでしょう。より豊かなAIとの共生のため、私たち人間もよりクリエイティブに進化していきたいものです。

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【執筆】ユピスタ編集部
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